【ハイシャインプライマー特集③】「ハイシャインプライマー」を完璧に使いこなすために

3回に渡って、その魅力と製作背景についてお伝えしてきた「ハイシャインプライマー」。
今回では、「ハイシャインプライマー」の性能を完全に引き出すための使い方についてご紹介していきます。



第1回の記事はこちらのリンクから

第2回の記事はこちらのリンクから

柔らかいワックスと組み合わせて使用する




ハイシャインでは、ワックスを革の表面に何層にも重ねるための「下地作り」が重要です。
その「下地作り」を最も得意としている「ハイシャインプライマー」は、それ単体でもある程度までは鏡面に近い仕上がりまで持っていくことができます。




しかし、さらに綺麗な鏡面にするために、

M.MOWBRAY トラディショナルワックス
M.MOWBRAY ROYAL グラサージュワックス

上記のような「柔らかいワックス」と併用して使用することを推奨いたします。

仕上げのツヤ出しの際に「柔らかいワックス」を使うことで、「厚塗りになりにくく、透明感を出しやすい」というメリットがあります。

硬いワックスを使用すると一つ一つの層が厚いものになってしまい、モヤモヤと曇ってしまったり、重ねる時に摩擦で下地を崩したりしてしまう恐れがあります。
せっかく「ハイシャインプライマー」で「下地」を作っても、硬いワックスを擦り付けることで崩してしまっては元も子もありませんよね。

革の表面に元々ある凹凸を「ハイシャインプライマー」の下地で埋め、その後で柔らかいワックスを使用してさらに均していくように作業していくのが、ハイシャインを綺麗に仕上げるポイントです。

ハイシャインの仕上げ方



では、実際に「ハイシャインプライマー」を使用した「ハイシャイン仕上げ」の工程をご覧ください。

まず革靴の基本的なお手入れを行った後に、つま先の先端から薄く「ハイシャインプライマー」を塗り始め、履き皺の少し手前まで塗り広げます。

1、ハイシャインプライマーで下地を作る


人によって肌に合わない可能性がございます。肌が弱い方は素手で塗るのはお控えください。



「ハイシャインプライマー」が定着してくると、指に引っ掛かるような感覚が出てきます。指が引っ掛かるように滑りが悪くなってきたら、再び上から薄く「ハイシャインプライマー」を塗り広げて「下地」を作っていきます。

「ハイシャイン」といえば、水を数滴垂らして磨きこむ、というイメージが強いかもしれません。
しかし、「下地作り」の段階から水を使ってしまうのはあまりおすすめしていません。
下地が定着していない部分に水が入ってしまうと、革の繊維がふやけてしまい下地が作りにくくなるためです。

「ハイシャインプライマー」を使った「下地作り」の段階では、指が引っ掛かってきても水は使わずに、その上から薄く「ハイシャインプライマー」を重ねてあげて下地を定着させましょう。


2、柔らかいワックスで仕上げる



写真のように、革の表面に被膜が定着して光沢が少しずつ出始めてきたら、「ハイシャインプライマー」によって下地を作ることができたサインです。

ここからは、柔らかいワックスを使用してさらに凹凸を均していく作業です。

まず、「ハイシャインプライマー」と同じように、ワックスを布に取って薄く塗り広げます。

ワックスを塗り広げる指に引っ掛かりを感じてきたら、ここで初めて水を1~2滴垂らして、表面の曇りを切るように布を動かしていきます。

ある程度、表面の水気がなくなったら、再度ワックスを薄く塗り広げてから水を1~2滴垂らして同じように磨いていきます。

あとはこの作業を仕上がりに満足するまで繰り返すだけです。




「ハイシャインプライマー」を使わずに従来のワックスだけでハイシャインを施そうとすると、下地を定着させるのに時間やコツが必要な上に、水の量や磨く力加減を間違えると革の表面が荒れてしまい、より光沢を出すことが難しい状態にしてしまうことも多々ありました。

ですが、これからはそういったトラブルに頭を悩ませることもありません。

「ハイシャインプライマー」を、ワックスを塗る前に使用するだけで、ハイシャインを早く・綺麗に仕上げるだけでなく、革にとってのダメージを最小限に抑えることができるようになるのです。

最後に


「革に余計な負担をかけないものを」「使い手を選ばない使用感を」

これは、開発の中心となった革の仕上げを担う職人である斗谷(はかりだに)氏、そして我々M.MOWBRAYが製品をプロデュースする上で主軸としていたものです。

どれだけ「早く・強く」光らせることができる製品でも、慣れや技術が必要であったり、革に負担が大きかったりするようでは、使用する上で不安が残ってしまいます。

「誰でも」「革に負担をかけず」「世界最速で」「美しく仕上げることが出来る」

「ハイシャインプライマー」はこれらの要素をすべて持ち合わせており、自信を持ってお勧めできる製品になったと自負しております。

ハイシャインにチャレンジしてみたい方、
ハイシャインのクオリティを上げたい方、

そして何よりも、革のことを第一に考えて靴を磨く皆様に。

発売はもう目前です。
ぜひ一度、その手でお確かめください。



「M.MOWBRAY ハイシャインプライマー」
・発売予定日:10/30(金)
・内容量:40㎖
・金額:¥2,500(税別)

【ハイシャインプライマー特集②】「ハイシャインプライマー」その使用感は?


前回の記事でリリース予告をさせていただいた「ハイシャインプライマー」。
では、今回は実際に使用してみた感触をお伝えしたいと思います。


前回の記事はこちらのリンクからご覧いただけます。

早く光るワックスの特徴


現在、市場にはさまざまなワックスが販売されています。
その中でも、「早く光る」というレビューが多いワックスは「硬い」ものがほとんどです。
早く光らせるためには、ツヤの成分である「ロウ」の配合量を高めるのが従来のセオリーでした。ワックスに含まれる油分・有機溶剤を揮発させてロウの割合を高めるために、あえてワックスを乾燥させるという方法を試したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。


確かに、硬いワックスは早く・強く光沢を出すことが得意です。
しかしそれと同時に、上手く使いこなすためにはある程度のコツと経験が必要になってきます。

硬いワックスは塗り広げにくいため、仕上がりの光沢にムラができやすくなってしまいます。
また、すでに層になっているワックスの上に、更にワックスを重ねていく作業をしていくため、ワックスが硬いと層を崩しやすくなってしまいます。

つまり、従来の早く光るワックスは「ある程度ハイシャインを仕上げることができる中~上級者」が「作業時間を短縮するための製品」であり、「初心者」が「失敗せずに仕上げることができる製品」というものではなかったように思います。


では、「誰でも」「革に負担をかけず」「世界最速で」「美しく仕上げることが出来る」を目標に開発した「ハイシャインプライマー」は、どのような使用感なのでしょうか。

柔らかく、粘度が高い




先ほど説明した「硬いワックス」とは反対の、「柔らかいワックス」であれば作業時間はかかるものの、失敗は少なくなるはずです。
さらに加えるとしたら、革の表面に定着しやすい「粘度の高さ」があると、なおハイシャインの作業はやりやすくなるでしょう。

「ハイシャインプライマー」は、布に取ってから塗り広げるまではある程度の柔らかさがあり、塗った後はすぐにしっかりと表面に定着する粘度の高さがあります。
この「粘度」という条件も、「早く」「失敗しにくく」ハイシャインを仕上げるためには大事なポイントです。

塗り広げる時、指に少し引っ掛かりを感じる程度の粘度があることで、先に塗ったワックスの層が動きにくくなるため、より強固な下地の層を定着させることができるようになります。

ハイシャインの下地ができるまでの回数



ハイシャインの作業を動画で見てみると、曇った表面が一気に光沢を帯びてくるタイミングを目にすることができます。
これは作業が「下地作り」から「仕上げ」に切り替わった瞬間であり、下地ができているというサインでもあります。

この「下地」ができていないと、いくらワックスを重ねたとしても綺麗な仕上がりにすることができません。そのため、ハイシャインを施す作業者の多くが、作業時間のほとんどを「下地作り」に費やしています。

では先ほど説明した、柔らかく、そして粘度が高い「ハイシャインプライマー」は、どれくらいで下地を作ることができるのでしょうか。



3回ほど指で塗り込み、作業した状態が上の画像です。
もちろん、作業時間も従来よりも短縮されています。
また、作業回数が少なく済むということは革を摩擦する回数が少ないということですので、「摩擦によって表面が荒れてしまう」というリスク回避にもつながります。


初心者にも、上級者にも



少ない回数・短い時間でハイシャインを施す手助けをしてくれる「ハイシャインプライマー」。
ハイシャインの作業効率が格段に向上することはもうお伝えできたかと思います。

ですが、この「ハイシャインプライマー」の本当の目的は

「不必要なダメージを革に与えないようにする」というところにあります。

今までハイシャインが上手くいかなかったという初心者の方にも、
さらに効率的にハイシャインを仕上げたいという上級者の方にも、

ぜひ、革のコンディションのために使用していただきたい製品です。


正式なリリースはもう目の前です。
ご期待して、もうしばらくお待ちください。

【ハイシャインプライマー特集①】注目の「ハイシャインプライマー」とは

靴のつま先を光らせることによって、その表情や存在感をワンランク上の仕上がりにすることができる「ハイシャイン」。
つま先に自分の顔が映るほどの光沢・透明感を持たせることが可能ですが、技術的な難易度は非常に高く、「なかなか上手く光らない」、「失敗して革の表面が荒れてしまった」という経験がある方も多いはず。
また、ハイシャインは熟練のシューシャイナーでも時間のかかる作業であるため、プロ・アマチュア問わず「もっと早く・綺麗に仕上がる方法」が常に模索されている領域でもあります。

ハイシャイン(鏡面磨き)とは


ハイシャイン(鏡面磨き、ミラーシャインとも)とは、「ワックス」と呼ばれるツヤ出し専用のアイテムを使って革の表面に層を作ることで、凹凸を均して鏡のように光を反射させる仕上げ方です。
靴のつま先、もしくはかかとにワックスの層を重ねていくことで奥行きのある仕上がりと表情を作り出します。
革の表面が動いてしまうと乗せたワックスの層が割れてしまうため、一般的には歩行時に曲がることが少なく、かつ芯材が入っているつま先・かかと部分にのみ施します。

ハイシャインのデメリット


目を引くほどの綺麗な仕上がりになるハイシャインですが、場合によっては革に対するデメリットが少なからずあります。

特に、一番多い失敗例として「革の表面を荒らしてしまう」ということが挙げられます。この失敗の原因として、ワックスで上手く層を作ることが出来ず、つい力を入れて擦ってしまうことが考えられます。
摩擦によって革の表面が荒れてしまうと見た目も悪くなってしまい、ワックスの層が出来にくい悪循環に陥ってしまいます。
さらに、荒れた表面からワックスが浸透してしまうことで革の水分・油分のバランスが崩れてしまい、状態が悪化してしまう可能性もあります。

ハイシャインで失敗しないために


ハイシャインで失敗しないために重要になってくるのは、革の表面にワックスで層を作るための「下地」作りです。
この「下地」が上手く作れていないと、革にワックスが浸透してしまったり、摩擦によるダメージを与えてしまったりします。


「ハイシャインプライマー」とは


そこで今回開発したものが、「ハイシャインプライマー」です。
革の仕上げを担う職人である斗谷氏を中心に開発を始め、氏の「仕上げの技術を応用することができないか」という発想が形になって実現した製品です。

斗谷諒氏



ハイシャインを仕上げていく過程では、ワックスに含まれる「油分」や「溶剤」等の成分が革の繊維の中に浸透し、革が酸化することによりコンディションが悪化してしまうリスクがあります。


斗谷氏はそのリスクを軽減するために、「目止め処理(シーリング )」の技術を応用する必要性を感じました。
「目止め処理(シーリング)」とは、素材として不安定な動物の「皮」を、安定した製品化が可能な「革」へと仕上げる工程で欠かせない作業です。


「ハイシャインプライマー」は、「目止め処理(シーリング)」を施したような安定した「下地」を作ることができます。この「下地」があることによって、その上に乗せたワックスは革に吸収されることなく定着するようになります。

この発想は、革を仕上げるフィニッシャー目線だからこそ行き着いたアイディアです。

「ハイシャインプライマー」最大の特長

画像はサンプル段階のものです。



ただ単に早く光らせる商品であれば、いくつかの商品がすでに存在します。
しかし「ハイシャインプライマー」は、そのような商品とは大きく異なる点があります。
それは、「革への負担をできるだけ減らす」ことを考えられているという点です。

「誰でも」「革に負担をかけず」「世界最速で」「美しく仕上げることが出来る」

この強い思いが込められた「ハイシャインプライマー」を使用することで、今までハイシャインがなかなか上手くいかなかった方も、安定して綺麗な仕上がりを実現することが可能になることでしょう。

「ハイシャインプライマー」のリリースはもう少し先になります。
それまでこちらで詳細をお伝えして参りますので、ぜひご期待ください。

M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツはプロのシューファクトリーやシューブランド、靴愛好家の方々から数多くの支持を得ているシューケア(靴手入れ)のトップブランドです。 M.モゥブレィブランドの代表的な商品であるデリケートクリーム、アニリンカーフクリーム、シュークリーム等はイタリアにおける皮革タンナーや靴メーカーの聖地の一つであるトスカーナ州の古いファクトリーで作られています。 製造は大型の機械で大量生産が主流の現代では珍しい、熟練の職人による頑固なまでのハンドメイド的製法を堅持して、欧州の靴クリーム作りの伝統と品質を現代に受け継がれています。また、プロユースで評価が高かった皮革用石鹸、ソール用クリーム、コバ用クリームなどを一般商品化し、さらに日本のファクトリーにて独自製法で開発したステインリムーバーやモールドクリーナーなどをラインナップに加えるなど、品質、伝統、革新をおこなうシューケアブランドとして、M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツは日々進化し続けています。M.モゥブレィプレステージは上質な天然成分を使用したM.モゥブレィの最高級レザークリームブランドです。