2024年8月17日(土)と18日(日)に靴磨き選手権大会 福岡大会が開催されます。
限られた時間でいかに早くハイシャインを作れるかを競う大会です。ただ早く磨けば良いだけはなく、所作やプレゼンなど、磨きだけではないところも審査対象となるのがこの大会の見どころです。
ご興味がある方は、こちらからさらに詳しい情報をごらんいただけます。
今回は、靴磨き選手権大会にちなんで、「ハイシャイン(鏡面磨き)」について、シューケアマイスターからのワンポイントアドバイスをお届けいたします。
靴磨きのなかでも「あせらず、落ち着いて」進めると良い作業についてのお話です。
ハイシャインの工程は、2つに分けて考える
靴磨きには、鏡面磨き(=ハイシャイン)と呼ばれる仕上げ方があります。ハイシャインは、靴のつま先やカカトを、顔が映り込むくらいピカピカに磨き上げるものです。
ここまで光るのは、革の表面の凹凸が綺麗に埋まって、フラットな面になっているからです。実は、ツルッとしているように見える革も、その表面には小さな凹凸があります。ハイシャインとは、その凹凸を「油性のワックス」で埋めて、ならしていく作業です。
(油性のワックスは、ロウと油を主成分とした靴磨き用品です)
ハイシャインの具体的な方法は、こちらのブログでご紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
ハイシャインの基本動作は、指に巻いた布にワックスを取り、靴に水を一滴垂らしながら磨くことの繰り返しです。一見、単純な繰り返しなのですが、その動作は大きく2つの段階に分かれています。
1. ワックスを革に定着させる(ベース作り)
2. 表面をならしていく(研磨)
綺麗なハイシャインを施すには、1の工程をあせらず、落ち着いて進めることがポイントです。
ハイシャインのベース作りは、あせらずじっくり進める
ハイシャインを成功させるためのポイントは、あせらず、じっくりと革にワックスを定着させることです。この工程はハイシャインにおけるベース作りと呼ばれています。使うワックスの種類にもよりますが、ベース作りは、靴に水を垂らさずに進めることが多いです。
(確実に水が必要になるのは、革の表面をならす研磨の工程です)
それでは、この靴にワックスを塗って、ベースを作っていきます。
まず、人差し指にワックスを取ります。一回で塗るワックスの適量は、一円玉の大きさくらいです。
光らせたい部分に塗り広げると、このように曇った状態になります。
ここからが、あせってはいけないポイントです。曇ったままで不安になるかもしれませんが、ワックスを取って指で塗る工程を、約10回繰り返してみてください。すると、曇りのなかにキラッと光った部分が出てきます。
ちなみに、黒の靴で同じ回数ワックスを塗った状態がこちらです。
このような部分的な光沢を確認できれば、ベース作りは完了です。
ベースができたら、ひたすら磨く
靴の光らせたい部分にワックスが定着したら、あとはひたすら表面を研磨していきます。
研磨の作業は、次の2つの工程の繰り返しです。
・指に巻いた布に、一円玉の半分くらいの大きさのワックスを取る
・靴に一滴の水を垂らし、布を革の表面で滑らせるように動かす
布でゴシゴシ磨くのでなく、革の表面を滑らせるように動かすことが、綺麗に研磨するためのコツです。
ベース作りをマスターすれば、ハイシャインが上手くなる
靴のつま先やカカトをピカピカに磨けるようになるのは、本当に楽しいものです。しかし、慣れるまでは両足を磨き上げるのに、1時間くらいかかってしまうこともあります。
今回ご紹介したベース作りのポイントは、この2つでした。
・1円玉くらいの油性のワックスを指に取って塗る(水は使わない)
・この工程を10回繰り返す
ベースが上手く作れるようになれば、ハイシャインを失敗しにくくなりますし、仕上がりまでの時間も短縮できます。
ぜひ、このポイントを押さえて、ご自身の靴をピカピカに光らせてみてください。