BLOG ブログ

Thinking Leather Action(TLA)とは


エコ、サステナブル、SDGsなど時代の変化とともに消費者の関心興味が高まり、様々な取り組みに繋がっている昨今。

良いことばかりではなく、悲しいことに皮革 / 革製品については、主に「4つの誤解」が生まれており、その誤解をSNS・メディアなどで拡散してしまっている事例も見受けられます。


TLAは、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)が2021年に立ち上げたワーキンググループです。

Thinking Leather Action(TLA)活動というワーキンググループや革がいかにエコでサステナブルである素材であるかという情報を数回に分けてお届けしていこうと思います!




※出典元 (一社)日本皮革産業連合会



「実は 、革ってサステナブル。」


第2回では「革を作る」ということは環境負荷が大きいのか?という内容を解説していきたいと思います!

皮革は石油製品に比べ
環境負荷が大きいとは言えません



素材の誕生から廃棄まで
ライフサイクルアセスメントという で比較すれば 、
長持ちする天然皮革は、 寿命が短い素材に比べ環境負荷が少なくサステナブルと言えます 。

ライフサイクルアセスメントの比較

POINT


アパレル業界では 、 2012 年頃に出回った環境測定スコアにより 、 天然皮革の環境負荷が
石油製品に比べ高いという誤解を受けたこともありました 。 現在 、 このスコアは環境をビジ
ネスに利用しているという理由でノルウェーで違法 、 EU でも限定的な使用に限られ 、 実質 、 効力を失いましたが当時の天然皮革に対する負のイメージは業界に残っています 。

皮革は環境負荷が大きいと誤解を招いた理由
~クロムに対する誤解と背景~


クロム鞣し革は世界の革の85%を占め、現在でも多くのハイブランドで使用されているにもかかわらず、有害なイメージを始めとする様々な誤解を受けています。

◎使用されている塩基性硫酸クロムという3 価クロムは、安全で少量かつ短期間で鞣すことができ、環境負荷も少なく、排水処理が整っていれば優れた薬品であるといえます。

◎日本国内では、1973 年に都内の工場跡地が 6 価クロムに汚染されていることが発覚し、大きな社会問題となりました。それ以前から6 価クロムの粉塵を扱った作業者の鼻中隔に穴が開く病気や肺がんが多く発生しており、3 価クロムと 6 価クロムの違いが曖昧なまま誤解が広がりました。

◎1980 年代~ 1990 年代にかけて、自動車産業において環境問題への意識が高まった際、当時の焼却技術では、焼却によって6 価クロムが発生する可能性があり、クロム鞣し革が廃棄できないことが、クロム有害という風潮の発端でした。

◎現在では、焼却技術の進歩により、クロム革を焼却しても
6 価クロムが発生しない技術が開発され、脱クロムブームに沸いた自動車産業でしたが、多くの会社がクロム革に戻しています。

POINT


◎クロムは人体にも含まれており 、 また 、 スプーンなど口に入れるクロムメッキやサプリメントにも使われています。

また 、 3 価クロムは緑の着色剤として化粧品 メイクアップ製品 、 化粧
下地製品、 コンシーラー製品 、 洗顔石鹸 、 洗顔料 、 ボディスクラブ製品など にも使われています 。

◎日本エコレザーやイタリアのエコ認証を始めとする世界の皮革業界は、クロムの使用を認めています。クロム革は丈夫で長持ちするので、商品の誕生から廃棄までを考えると、エコだといえます。

◎とはいえ、クロムも完璧な薬品ではなく、皮革業界でも新しい鞣しへのチャレンジは続いています。


Men’s accessories on a blue wooden background, top view

皮革は環境負荷が大きいと誤解を招いた理由 
~畜産による森林破壊問題~


牛肉と革製品のために、アマゾンで牛の放牧が広がっていることが森林破壊に結びついているという報告書が原因で、世界中の皮革/革製品が森林破壊につながるというような誤解を生みました。


◎繰り返しになりますが、牛などの家畜動物は、肉や乳製品などのために飼育されています。そのため、副産物である皮
革/革製品を作るのをやめても、皮は出続けます。

◎畜産と森林破壊問題は、ブラジル・アマゾンの一部の限定的な問題であり、本来は世界の他の地域の皮革/革製品とは
関係ありません。

◎現在では南米原皮のトレーサビリティが重要視されるようになり、ブラジルは違法伐採監視を強化しており、2028 年までに違法伐採ゼロを目標としています。


◎EU では、 2022 年に EU 域内で販売もしくは域内から輸出する対象品(皮革を含む)が森林破壊によって開発された農地で生産されていないこと(「森林破壊フリー」)を確認するデューディリジェンス(投資を行う際、対象となる投資先の価値やリスクを調査すること)の実施を企業に義務付ける規則案に合意しました。


皮革は環境負荷が大きいと誤解を招いた理由
~排水問題



革を製造する際の排水に関して「垂れ流している」などの誤解を持っている消費者も一部存在するようですが、現在の日本の排水処理は世界トップクラスです。

◎日本の製革工場の最大の集積地である兵庫県の皮革製造で排出された排水は、
皮革排水専用の下水管を通り専用施設で処理された後、さらに一般下水処理場で処理されています。
◎東京都をはじめとする各地区でも、排水は厳格に処理されています。

~カーボンフットプリント・ウォーターフットプリント~


水・CO 2 を大量に消費することが問題視されるようになった現代では、皮革業界全体で設備・技術の革新とともに、 CO 2 排出量 (カーボンフットプリント ・水の消費量(ウォーターフットプリント)削減に取り組んでいます。EU等の発表は以下のような数値となっています。 日本でも調査進行中( 2023 年現在)





最後に



次回は本革の代替素材は皮革よりサステナブル?なのという点について解説していきます!

本ブログは革がエコでサステナブルである素材であることをお伝えするためのものであり、他のアイデアや素材を否定したり攻撃する意図はございません。

友だち追加


M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツはプロのシューファクトリーやシューブランド、靴愛好家の方々から数多くの支持を得ているシューケア(靴手入れ)のトップブランドです。 M.モゥブレィブランドの代表的な商品であるデリケートクリーム、アニリンカーフクリーム、シュークリーム等はイタリアにおける皮革タンナーや靴メーカーの聖地の一つであるトスカーナ州の古いファクトリーで作られています。 製造は大型の機械で大量生産が主流の現代では珍しい、熟練の職人による頑固なまでのハンドメイド的製法を堅持して、欧州の靴クリーム作りの伝統と品質を現代に受け継がれています。また、プロユースで評価が高かった皮革用石鹸、ソール用クリーム、コバ用クリームなどを一般商品化し、さらに日本のファクトリーにて独自製法で開発したステインリムーバーやモールドクリーナーなどをラインナップに加えるなど、品質、伝統、革新をおこなうシューケアブランドとして、M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツは日々進化し続けています。M.モゥブレィプレステージは上質な天然成分を使用したM.モゥブレィの最高級レザークリームブランドです。