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プロに聞く!「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」使用感レビュー

 2021年4月末にリニューアルリリースした「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」。
 前身となる「M.MOWBRAY ハイシャインポリッシュ」を知っている方には、期待大の新製品だったのではないでしょうか。
 今回は、その「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」の使用感レビューを、対談形式で語っていただきました。

シューケア用品といえば「あの」場所

 日用雑貨から、DIY用品まで。
実用性の高いものから趣味性の高いものまで幅広く取り揃え、深い懐で消費者のニーズを叶えてくれる「東急ハンズ」。
 「探しものの駆け込み寺」、「ここで見つからないものはない」と言われる東急ハンズに、「店主」と呼ばれるその道のプロフェッショナルがいることはご存知でしょうか。
 対談に参加していただいたのは、東急ハンズ新宿店6F シューケア用品売場「輝く足元商店」店主の「藤田 康雄」さん、同売場に常駐している靴磨きのプロフェッショナルの「高木 俊郎」さん。
 ユーザーとして、そして靴磨き・販売のプロフェッショナルとしての視点から見た、「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」はどのように映るのでしょうか。


「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」とは

「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」全6色 ¥990(税込)

 靴磨きに関心を持つ方であれば、1度は挑戦したことがある「ハイシャイン(鏡面磨き)」。文字通り、鏡のように景色が映りこむほど綺麗に仕上げるためには、高度な技術と根気強さが要されます。
 「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」は、ハイシャインを従来よりも「早く・綺麗に・簡単に」仕上げるために開発された新商品です。
 これからハイシャインに挑戦してみようと思っている方、使用感が気になっていた方は、ぜひこの対談記事を最後までお読みください。


-まず、藤田さんのご経歴をお聞かせいただけますか。

東急ハンズ新宿店6Fシューケア売場「輝く足元商店」店主 藤田康雄さん

藤田さん(以下、藤)

 東急ハンズに入社したのは1983年の頃です。当時は23歳で、服と靴にしかお金を使っていませんでした。それこそ色々な服や靴を手に入れては身に着けてきましたが、当時はそこまで手入れにのめり込んではいませんでした。
 手入れに目覚めたきっかけは、やはりシューケア用品売場を担当することになってからです。東急ハンズ渋谷店のシューケア売場のマネージャーを務めることをきっかけに、そこから経験を積んで今は新宿店シューケア売場の「店主」に就かせてもらっています。


-「店主」という肩書を持つ方は、どの店舗にもいらっしゃるというわけではないんですね。


(藤)
 今はこの新宿店と梅田店と博多店の3店舗だけですね。
 「店主」という制度が始まったのは新宿店が最初で、梅田店と博多店は2021年の春から新しく始まったばかりです。今後は他店にも拡大する予定ですが、今はこの3店舗だけでの取り組みです。(※取材を行った2021年6月時点での店舗数)
もっと増やしてもいいとは思いますが、「店主」という肩書が付く以上、経験を積んだスタッフにしか任せられません。全店舗で一斉にスタートするのは、現実的には難しいです。
 また、僕みたいなキャラクター性のあるスタッフに接客されることで、お客様に「相談しやすい」、「話の聞き甲斐がある」と感じていただけると、嬉しいですね。


-「店主制度」がある店舗は、他の店舗よりも「接客の距離感」や、「接客される体験」に力を入れているということですね。もし、藤田さんが不在の時は、どなたにご相談すればいいですか?


(藤)
 日本皮革製品メンテナンス協会認定のシューケアマイスターの資格を持っている女性スタッフが2人います。また、常駐してくれている高木さんもシューケアマイスターの資格を持っています。
 この売場で取り扱っている商品のことから靴の手入れのことまで、一通り答えられる知識があるので、ご安心ください。


シューケアマイスターの実演スペース。背面には協会の認定証が並ぶ。



-では次に、高木さんの経歴についてお聞かせいただけますか?

シューケアマイスター 高木俊郎さん


-高木俊郎(以下、高)
 私は実家が靴屋だったので、幼少の頃から靴に囲まれた環境で育ちました。本格的に靴に目覚めたのは高校生の頃くらいでしょうか。地元がアメ横周辺だったので、そこで「バス(G.H.BASS)」のローファーを買って、通学の時も遊びに行く時も履いていたことを憶えています。
 それから靴メーカーに就職し、百貨店の販売員として接客や靴の知識を身に付けました。その後、常に身近にあったシューケアブランド「M.MOWBRAY」を取り扱う会社に入社しました。
 「シューケアマイスター」の資格を取ったのは、新宿ハンズの店頭に立ってからです。様々な会社・ブランドのシューケア用品に触れるきっかけが増え、それに応じてお客様からの相談の種類・難度もどんどん上がってきたため、それらのお問い合わせに自信をもって答えられるように資格勉強に励みました。


(藤)
新宿という立地も関係しているのかもしれませんね。特に新宿店は髙島屋さんと隣接しているからか、これから靴や革小物の手入れをしてみたいという方から靴や靴磨きマニアみたいな方まで、幅広い層のお客様がいらっしゃいます。


(高)
私も本当にそう思います。
そういうお客様方からの要望に応える意味でも、お客様から安心していただける意味でも、専門知識・技能をもっていることを可視化できる「シューケアマイスター資格」の必要性は強く感じました。


(藤)
有り難いことに、リピーターになってくれるお客様も多いですからね。一人でも多くのお客様に、またご来店いただけるように接客するのが永遠のテーマというか、課題だと思っています。

「また来たい」と思ってもらえる接客をするのが、永遠の課題


-では、本題の「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」について使用感などをお聞かせください。


(藤) 
 実は、「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」の前身にあたる「ハイシャインポリッシュ(従来品)」は、あんまり光らないから店頭での展開を辞めてしまったんです。


(高)
 確かに、従来品を使いこなすのは正直難しかったですね。それこそ一生懸命頑張って磨いて、やっと少し光るくらいでした。
 ただ、当時はワックスの種類が今ほど多く販売されてなかったので、僕もこれをずっと使っていましたね。


(藤)
 そういう経緯もあって、特にワックスに限って言えば、M.MOWBRAY製品はあんまり使っていませんでした。
 でも、だからこそ「リニューアルする」って話を聞いた時はすごく嬉しかったし、期待もしていましたね。


(高)
  確かに、今はこういった新しいワックスが色んなメーカーから続々と出ています。世の中的にも、ワックスの需要が広がってきているのは事実ですね。そのニーズの高まりに合わせたタイミングでリニューアル製品が出たというのは、販売する立場としても勧めやすいと思いました。



従来品は正直、あんまり…。だからこそ、リニューアルには期待大。


-次ページではいよいよ使用感についてレビューをしていただきます。



-では、実際に使用してみての感想はいかがでしょうか。

(藤)
 実際にサンプルを使ってみたら、やっぱり良い意味で「今までとかなり違うな」と感じました。
 カルナバとビーズワックスと、キャンデリラ。それぞれ異なる硬さや特性を持つ3つのワックスの良いところが、バランス良く凝縮されていると思います。
 特に、使ってみて感じた一番の特長は「凹凸が早く埋まる」こと。
 鏡面磨きを仕上げるためには「下地(ベース)作り」と「仕上げ(トップコート)」の2つの作業が必要ですが、「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」はその2役が1つで出来ます。
 より早く鏡面磨きを仕上げるために、「下地作り専用ワックス」と「仕上げ専用ワックス」が別々で製品化されることもありますが、「ハイシャインワックス」はどちらの作業もバランス良く仕上げることができます。
 これは結構すごいことだと思いますね。


(高)
 このワックスを開発するにあたって、「靴磨き選手権」2019年度準優勝のシューシャイナーである「岡嶋 翔太」さん、そして同大会のカラーリング部門で優勝されたテクニカルアドバイザーの「斗谷 諒」さんの2人のプロフェッショナルに監修をしてもらっています。
 この商品スペックの高さには、この2名のプロならではの視点が盛り込まれていることを感じますね。


(藤)
 プロが監修していますが、決して「プロ用」として作られているわけではないのも、製品のコンセプトとして良いところですね。ビギナーが使っても、セミプロくらいの仕上がりまで持っていくことができると思います。
 はっきりと分かるくらい「使いやすくなったな」というのが、リニューアルしたものを使ってみて感じた最大のポイントです。

(高)
ただ、「使いやすいワックス」と一口に言っても、実際には使う人によって好みの硬さ・粘りが大きく分かれますよね。「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」の使用感や、製品の癖などはどうでしょうか。


(藤)
 ワックスそのものの硬さは「硬くもなく、緩すぎることもない」でしょうか。
 塗り広げる際には指に引っ掛かりを感じることがありますが、これはワックスが革に定着してくれているサインです。
 また、定着するのが早いため、ワックスの層を厚く重ねなくても、しっかりとした被膜をつくることができます。そのおかげか、最後の水研ぎ (※)をする時に指のストロークを早くしても、重ねたワックスの層が崩れにくいのも嬉しいですね。

(※)水研ぎ…ハイシャインの最後の仕上げに、布に少量の水を含ませて曇りを切る作業。


(藤)
 あと、普通は鏡面が擦れて削れてしまった時のリカバリーが難しいんですが、ハイシャインワックスはけっこう簡単に凹凸を埋めることができました。これも定着力の高さがあってこその特長なんだと思います。簡単に鏡面を修復できるのは重宝しますね。


(高)
 確かに、スレの上から塗ってブラッシングするだけでも、ある程度ぼかすことができますね。他のワックスだとツヤが出るだけなのですが、「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」は凹凸がある程度まで埋まるため、よりスレが目立たなくなる感じがあります。


(藤)
 もちろん、鏡面が割れてしまった場合、本当はワックスクリーナーを使ってリセットする方が良いんですけどね。
 余談ですが、僕はこのワックスクリーナーもお気に入りです。古いワックスがしっかりと落ちますし、擦る回数が少なく済むので革へのダメージも、手間も最小限にすることができます。

(藤田店主もお気に入り。「M.MOWBRAY ワックスクリーナー」¥1,320(税込)


 ただ、これを使ってリセットするほど鏡面の状態が悪くなっていないのであれば、ハイシャインワックスだけで簡単な補修をすることもあります。特に、店頭でディスプレイとして飾っている、靴の鏡面の手直しをする時には重宝しています。
 簡単にリカバリーできるので、なんだか鏡面磨きが上手くなったような気にすらなりますね。

店頭ディスプレイ用の靴は、どれもピカピカ



(高)
 確かに、鏡面磨きが簡単に仕上げられると上手くなった気がしますよね。それが道具のおかげだとしても、良い気分になるはずです。


(藤)
 そういう意味では、自分の腕が上がったような気にしてくれるワックスですね。簡単な作業でも、早くツヤが出ると嬉しいじゃないですか。



「早くツヤがでるようになると、腕が上がった気がしますね。」



(高)
 鏡面磨き自体が時間のかかるものですからね。やっぱり、光らないとうんざりしてきちゃいますし、面倒くさいなって意識が根付いてしまいます。そうなってしまうと鏡面磨きだけじゃなくて、「靴のお手入れ」そのものを敬遠してしまうことに繋がりかねないと思います。


(藤)
 作業に時間がかかればかかるほど、確実にストレスは溜まる一方。反対に、早く光らせられるようになると、「お、上手くなってきてるじゃん」って自分で思えるようになると思います。そうなると単純に嬉しいし、「靴磨き」という作業が楽しくなりますよね。


(高)
 もっと技術を突き詰めてみよう、色んな靴で鏡面磨きに挑戦しようって思うきっかけにもなると思います。


(藤)
 あとは、単純に「安い」のが良いですね。前に発売された「M.MOWBRAY ハイシャインプライマー」を、ちょっと高いと感じてしまったということもありますが。


(高)
「M.MOWBRAYハイシャインワックス」は税込で990円ですね。これだけのこだわりとスペックを詰め込んで、この価格帯を実現できているのは非常にパフォーマンスが高いと思います。


(藤)
 あとは、使っていく上でドライワックスになった時にどうなるかも気になります。こだわりの強いお客様だと、ワックスの蓋をあえて開けっ放しにしておいて、乾かしてから使うって方もいますから。その使い方をした時にどう化けるか、というところは、これからの楽しみでもありますね。


(高)
 公式で推奨しているのは「意図的に乾かすことはせず、できるだけ新品の状態に近いまま使い切る」という方法なんですけどね。買ってすぐに使っても、100%使いやすい状態で作業できることを考えています。
 もちろん、ワックスの硬さや使用感には好みがありますから、乾燥させて使っても問題はありません。製品のスペックと同じくらい、使いやすさという要素も重要ですから。


(藤)
 あとは色のバリエーションがもう少し増えるといいですね。特にネイビーは欲しいです。紺というよりは、青に近いような明るいネイビーがあると最高だと思いました。


(高)
 明るいネイビーは作るのが難しいらしいですね。どうしても色が濃くなって、黒っぽい発色になってしまうそうです。



「スペックが優秀な分、これからに期待したいところもある」

(藤)
 ちょっと前までネイビー系の色味の靴は珍しかったのですが、今はもうほぼ定番化していますよね。そういう色味の靴にも対応できるようになってくると、より広い層の方にも使ってもらいやすくなるんじゃないかと思います。


(高)
 確かに、男性の方でもネイビーやバーガンディー、グレーなどの革靴をスーツに合わせる方も多く見かけるようになりました。そういった色味の靴は今までだと婦人靴での展開が主流でしたが、トレンドと共に「定番」も変化しているということですね。


(藤)
 鏡面磨きにいたっては、今や女性のお客様からも需要が増えてきました。今までは、失敗しにくい柔らかいワックスを勧めていましたが、このハイシャインワックスは本当にちょうどいい使用感だと思います。量と力加減のコツが伝えやすいですし、教えられる側も感覚が掴みやすいと思います。
 言い換えれば、光らせるためのコツが掴みやすいワックスと言えるんじゃないでしょうか。これは使うだけではなくて、接客して販売してみないと分からなかった「良いところ」でもあります。
 そういった、接客を通じてでないと得られない「お客様の声」が僕らにとって最大のヒントであり、教科書でもあります。商品化する時のネタにもなるし、接客に活かせる武器にもなると思っています。






(藤)
 また、お客様目線という視点だと、このアテンションシールも良いですね。「M.MOWBRAY」の製品はこの辺をけっこう頑張っていて、これだけ多くの商品を販売している売り場でも、製品が埋もれないようにお客様の目を引くアイディアを盛り込んでいる印象が強いですね。

このアテンションシール良いですね。


帯状アテンションシール。目を引くような工夫を凝らしてある。


(藤)
 M.MOWBRAYは今後もきっと色々と新しい商品を出してくれると思いますが、販売する僕らや、実際に使用されるお客様を常に期待させてくれるブランドですね。
 今回リニューアルした「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」も、その期待を裏切らない「良い商品」として仕上がっていると思います。ぜひ試してほしいですね。


(高)
 「ハイシャインをやってみたい」という方も、店頭にお越しくだされば実際に目の前で磨きながらご説明いたします。ぜひお越しください。



店頭でお待ちしております。



- インタビュー内容は以上です。藤田さん、高木さん、お忙しい中ご協力くださりありがとうございました。

 東急ハンズ新宿店は、他を圧倒するほど豊富なシューケア用品を取り揃えており、そのすべての商品にバイヤーのこだわりや、長年使い続けているユーザーの愛着が込められています。
 初めて靴の手入れをしてみたいという方から、自分で高度な仕上げに挑戦してみたいという方まで、皆さまの探しているものが必ず見つかるはず。
 ぜひ一度、東急ハンズ新宿店6Fシューケア売場「輝く足元商店」に足を運んでみてはいかがでしょうか。


【登場した商品】

M.MOWBRAY ハイシャインワックス



・全6色

・¥990(税込)

商品ページはこちらから

M.MOWBRAY ワックスクリーナー


・100㎖

・¥1,320(税込)

商品ページはこちらから


<ギャラリー>


M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツはプロのシューファクトリーやシューブランド、靴愛好家の方々から数多くの支持を得ているシューケア(靴手入れ)のトップブランドです。 M.モゥブレィブランドの代表的な商品であるデリケートクリーム、アニリンカーフクリーム、シュークリーム等はイタリアにおける皮革タンナーや靴メーカーの聖地の一つであるトスカーナ州の古いファクトリーで作られています。 製造は大型の機械で大量生産が主流の現代では珍しい、熟練の職人による頑固なまでのハンドメイド的製法を堅持して、欧州の靴クリーム作りの伝統と品質を現代に受け継がれています。また、プロユースで評価が高かった皮革用石鹸、ソール用クリーム、コバ用クリームなどを一般商品化し、さらに日本のファクトリーにて独自製法で開発したステインリムーバーやモールドクリーナーなどをラインナップに加えるなど、品質、伝統、革新をおこなうシューケアブランドとして、M.モゥブレィブランドのシューケアプロダクツは日々進化し続けています。M.モゥブレィプレステージは上質な天然成分を使用したM.モゥブレィの最高級レザークリームブランドです。