靴磨き選手権大会に出場したスタッフが贈る、ハイシャインのテクニックシリーズです。
今回は、ハイシャインに厚みを持たせるテクニックのご紹介です。
1.ベースの指塗り

まずは、通常のハイシャインの作業と同じように指でワックスを塗ってベースを作ります。
キャップ(トゥ)の先端から縫い目にかけて縦に塗り広げると作業しやすくなります。
※塗り方は人によって違うので「円を描きながら」や「横むき」に塗っても大丈夫です。
使用しているワックスは、「M.MOWBRAY ハイシャインワックス」です。
2.布と水で磨き上げ

ベースができたら布を巻いて、少量のワックスと少量の水で磨き上げていきます。
この時の向きもつま先の先端から縫い目にかけて磨き上げていきましょう。

このくらいの艶になるまで磨き上げます。8割程完成している状態です。
3.再度指塗り

厚みを出したい部分に再度指でワックスを塗っていきます。つま先の先端とステッチ付近で濃淡を出したい場合は、先端のみにワックスを塗ります。キャップ部分全てを均一にしたい場合はキャップ全体に塗ります。この、「再指塗り」が今回のポイントです。
4.布と水で磨き上げ

2の工程と同じように少量のワックスと水で磨き上げます。2の時よりもベースが安定して潰れにくくなっているので少し力を入れても大丈夫です。
完成

厚みのある光沢が生まれました!
3,4の手順を行わなかったときの仕上がりはこちら。

つま先部分がまだ光り切っていないのが分かります。
※ワックスを塗り重ねた回数は左右同じ回数で磨いております。
ポイント解説
今回のポイントは3の「再指塗り」。
・途中で再度指塗りすることで、より強固なベースを作ることができる。
・ベースが強固になるので失敗が少ない。
・2回の指塗りで毛穴が埋まり切っているので早く仕上がる。
・少量のワックスで仕上げられる
なぜ、初めから指塗りで厚いベースを作らないのか?
初めの段階で一気に強固なベースを作ろうとするとベースが壊れてしまうのです。
ハイシャインの経験が増えていくと、だいたいの目安の厚みや感触がわかってくるようになり、塗リ止のタイミングがわかってきます。この段階がいわゆる1の状態です。
更に厚みを持たせるとなるとここから更に塗り重ねる事になるのですが、これ以上塗り重ねていくと追加するワックスに含まれる溶剤で今できているベースを剥がしてしまいます。
イメージは、ホワイトボードにマジックで同じところを塗っていると剥げてくる状態を想像してみるとわかりやすいかと思います。
最初の段階でベースを厚くしたい場合はある程度ベースを作った後、それが定着するまで時間を置いて作業すればベースを剥がすことなく仕上げることができます。
今回はハイシャインの厚塗りをする時のテクニックをご紹介しました。
この方法で厚みのある光沢のハイシャインに挑戦してみてください!