靴のお手入れ基礎知識の最終回、「拭き取り/乾拭き」です。
ブラッシングで艶が出たら、靴磨きは完了?
前回の「艶出し」の工程では靴クリームを塗り、豚毛ブラシをかけました。この時点で艶は出ています。綺麗になっているので、ここで手を止めても良さそうです。しかし、この状態の靴は、ホコリなどの汚れが吸着しやすいです。靴の表面には浸透しきらなかった余分なクリームが残っているため、そのクリームによるべたつきが、ホコリを吸着しやすくしてしまう原因です。そこで最後の仕上げとして、拭き取り(乾拭き)を行います。
拭き取りには柔らかい布を
拭き取りには柔らかい布を使います。使い古したハンカチやTシャツの切れ端でもOKです。
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弊社では拭き取りに特化した商品を取り扱っています。
M.MOWBRAY グローブクロス(向かって左)
M.MOWBRAY シルキーレザーグローブ(向かって右)
手が入るグローブタイプの、拭き取り(乾拭き)用のクロスです。さっと手を入れて拭くことができ、拭き取る面の柔らかさ、耐久性も優れています。また、シルキーレザーグローブは表と裏の両面を使うことができます。(グローブクロスは片面のみを使う構造です)
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今回はシルキーレザーグローブを使用します。柔らかい白いボアの面が、クリームの拭き取り用です。もう片方のヤギ革面は、少し力を入れながら拭いて、より艶を出すことができます。
拭き取りの方法と仕上りの目安
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前回、ブラシをかけて艶を出した、こちらの靴で拭き取りを行います。
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シルキーレザーグローブの白いボアの面で、靴全体をなでるように拭きます。拭き始めは、クリームの油分が少し引っ掛かる感触がします。この引っ掛かりがなくなり、グローブがスムーズに滑るようになるまで拭いてください。
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向かって右側が拭き取りを行った靴です。少し分かりにくいかもしれませんが、拭き取った後の靴の方が照明の光が強く反射しています。
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拭き取りを行っていない方は、指で擦ってみると跡が残ります。余分なクリームが残っていて、べたつきがある証拠です。この状態では、埃を吸着しやすく、せっかく磨いた靴がすぐに汚れてしまいます。
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拭き取りを行った方は、指で擦っても跡が残りません。余分なクリームは残っておらず、表面がサラッとしています。
さらに艶を出したい場合
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拭き取りの後、さらに艶を出したい場合は、シルキーレザーグローブのヤギ革面で乾拭きをします。白いボア面の拭き取るときと違い、革の表面を押すように、少し力を入れてください。その方が艶が良く出ます。
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綺麗に仕上がりました。これでお手入れ完了です。全4回でご紹介した、「靴のお手入れ基礎知識」はいかがでしたか?作業工程が多いように見えますが、慣れてしまえば一足10~15分でお手入れできるはずです。これから靴磨きを始めてみたい方、ご自身のお手入れ方法が合っているか不安な方のご参考になれば幸いです。