靴磨きをするときにニュートラル(無色)のクリームは使いますか?
カラークリームは補色されるので使用イメージもつきやすいですが、ニュートラルのクリームはどういったときに使うのか。
その使い分けが不明確な方も多いかもしれません。
靴修理の工房ではどういった時にニュートラルのクリームを使っているのか。
今回は工房での実際の修理事例を挙げて、お伝えしていきます!
色褪せより乾燥
まずは写真をご覧ください。
工房ではこの靴を、ニュートラルのクリームで仕上げることとなりました。
その理由は2つ。
・全体が色褪せているというよりも乾燥が気になる
・傷やスレも無く、補色する必要がある箇所がない
下の写真が、ニュートラルのクリームを使って磨いた後の状態です。
まだ色付きのクリームは塗っていませんが、全体の発色がが良くなったことが見てわかります。
良いエイジング
続いて、2足目はこちらの靴。
履きジワやつま先のスレなどを見ると、1足目よりも履いているように見受けられます。
この靴をお持ち込み頂いた際に、工房スタッフはお客様にこんな質問をしたそうです。
「良いエイジング(経年変化)して良い色になっていますが、色褪せてきたのが気になっていたり、色を濃くしたいなどのご希望はございますか?」
上記の質問を伺ったのは、この靴もニュートラルのクリームで仕上げたら綺麗になりそうだなと思ったからとのこと。
お客様からは「今の雰囲気を活かしたい」とご依頼頂いたそうです。
靴のもっている味を引き出す
そして工房スタッフが、2足目のこちらの靴もニュートラルのクリームを選択した理由は4つ。
・珍しい革の色
・良いエイジング
・良い革だからニュートラルだけで発色が良くなり、この靴の良さを引き出すことが出来そう
・お客様からの今の雰囲気を活かしたいとご要望
そのためニュートラルを使って磨き、仕上がった写真がこちら。
雰囲気も変わらず発色が良くなり、細かいスレや傷なども解消しています。
ニュートラルのクリームの使い道
乾燥や、エイジングの味を出すためとご紹介しましたが、ニュートラルのクリームを選択するときは他にもあります。
例を挙げれば様々ですが、このような場合にもニュートラルのクリームがおすすめです。
・新品の靴をプレメンテナンスするとき
・ロングブーツの足首より上の筒部分
※ロングブーツの筒部分は、洋服と擦れて色移りする可能性が高くなるためです。
カラークリームがバッチリメイクなら、ニュートラルのクリームはすっぴん風メイク、と言ったところでしょうか。
ニュートラルのクリームで、変わってゆく靴の色を楽しむのも良いかもしれません。
靴を磨くとき、新しいクリームを買うときの参考にして頂ければ幸いです。